「数」で「質」を凌駕する

キム・ヨーソイの新作Tシャツが、おかげさまで好評です。最新の画集『Tago Mago』や新プロジェクト、ドライヴァンのデビューCD、新作Tシャツと発売が続いたのが、意図しないキャンペーン効果を生んだのかもしれません。

 

このキムさん、肩書きがいくつもありますね。画家、写真家、デザイナー、音楽家、DJ、そして最近はダンス・パフォーマンスに執心かと思ったら、映画監督として映画も1本撮っています(未公開ですが)。CDを出したドライヴァンというプロジェクトは、彼が楽曲提供したダンス・パフォーマンスをきっかけに、その演者だった女性3人と組んだバンドですが、彼はその表現に強く魅かれ専門的な勉強をするため大学にまで通うことになったといいます。その間に映画も撮りました。表現手段の獲得に病的と言っていいほど貪欲です。

 

アウトプットのチャンネルが多いという意味で、思いつくのはコクトー。日本人ならまず魯山人、伊丹十三ってとこでしょうか。身近なところではビル・キャラハン(スモッグ)も多彩で、イラストも小説も書きます。とはいえ、せいぜいが3つ、4つまでなので、キムのチャンネル数はちょっと特異ですね。

 

でも彼を多少でも知ってる人はわかっているのですが、彼にとって「数」というのはたぶん重要なキーワードで、うちから出した作品集『Alt Fins/みんなある』で本人が書いているように、ある時「数」を使って「質」を凌駕するというコンセプトにチャレンジしています。圧倒的な数を作れば、作品一点一点の批評から作品自身を解放させることができると。これをキムさんは自身の表現手段の数でもチャレンジしているんじゃないかと疑っています。

 

ですんで、短絡的ですがドライヴァンのCDを流しながら、キムTを着て、『Alt Fins』や『Tago Mago』を楽しんでこそ、キムの純粋表現を楽しめるということになります。しつこいようですが、音楽だけ、デザインだけ、イラストだけではキムを評価することはできません。(体のいい宣伝ですね)。

  • Archives
September 2023
SUN. MON. TUE. WED. THU. FRI. SAT.
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30