コンテンツの劣化

出版流通の専門家、小田光雄氏は近年の出版不況を以下のように見立てている。

「96年に比べて、3分の1近い出版売上高の消滅という異常なまでの凋落は、それに加えて、出版物の内容の恐るべき劣化も影響しているのではないだろうか。つまりこの失われた十数年において、システムと出版物の劣化がパラレルに進行したゆえではないだろうか」
「1920年前後に立ち上がった出版社・取次・書店という近代出版流通システムの歴史は、出版物のそれぞれの分野におけるコンテンツの充実、作品性としての進化などによって売上を伸ばし、読者を増やし続けてきた。......[中略]......だが失われた十数年において、出版物における企画や編集の劣化に伴い、また書店にあっても本を売ることは二の次とされ、出店というハード、複合店モデルの推進によって、作品やコンテンツの内実は問われず、大量生産、大量販売、大量消費の道だけをひたすら歩んできた。それがシステムとともに出版物の大いなる劣化を招き、さらに出版危機を加速させていったように思える」(『出版状況クロニクル32』より)

このまま「出版物」を「CD」に変えればいい。
つまり上の文章では「再販制度の瓦解」と「コンテンツの劣化」を不況の一因に上げているわけだが、これは音楽でもたぶん正しい。
さらに売り上げ目標達成のため発売点数を増やすのは出版社もレコード会社も同じだが、ことCDに関しては流通のハードルの低さから、そこら辺のあんちゃんが作品と言えないようなものまで、自称レーベルを通じて下痢のように流通させるため、「コンテンツの劣化」は出版界以上とも言える。壊れたシステムは作り直せばいいが、コンテンツの質の向上には時間がかかる。休耕田の土作りのような苦労だね。まあ、とにかく事態は深刻なのだ。

そんな「コンテンツの劣化」の時代に見つけた素敵なミュージシャン。デブのおっさんだけど良い。シカゴの知り合いのミュージシャンからの紹介でした。

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