「極める」から「楽しむ」へ

今年も釣り具メーカーからカタログがいっせいに発表された。ひと通り通読して気づくのが、これまで釣りの王様だった磯釣りが、その座をエギング、ジギングといった疑似餌釣りに譲ったこと。これはダイワ、シマノの2大ブランドでももちろん共通しており、小洒落た女子供のウェアまで発売されているのにはさすがに目を疑った。

磯釣りは悪臭を放つオキアミやアミエビ(どちらも3センチほどのエビのようなプランクトン)に、オカラだのニンニクだのサナギだの押し麦だのを調合した配合餌を混ぜ合わせ、ぐりぐりとかき回し、それを杓ですくって海にバラ撒く釣りだ。つまり生臭い上に、頭からつま先までどろどろに汚れるのが常。しかし近年、若い人を中心に、ゲーム性の強いスポーツ・フィッシングへ人気が移りつつあり、ついに今年2011年、めでたくそれが逆転したというわけ。

釣人には経験やそれに伴う技術によって釣果に明らかな差が出るため、「道」に近い修練と努力、さらに知識が求められる。ゲームを楽しむアングラーは「レジャー」としてのアウトドアの延長で楽しんでおり、小難しいツールもテクニックもさほど必要ないから女性でも子供でも手軽に遊べる。そして何より汚れないし、殺生の匂いもない。

「極めたい釣人」と「楽しみたいアングラー」の間には、深くて暗い川がある。

目的がまったく違う両者が同じ場所で竿を出す場合、ちょっとしたことで両者はトラブル。釣り場は遠からず道場であり、そこには決まった不文律があると考える釣人に、アングラーは釣り場を道場に見立てる釣人がまったく理解できない。しまいにおっちゃんが微妙な反応を見極めようと凝視するウキの脇を、餌木でガシャガシャやるものだから、おっちゃんは待ってましたとブチ切れるのだが、ヤングなアングラーは釣人を何か古くさい異物を見るような目で見つめるだけ。去年だけでも数回見た光景だ。

「山男にゃ惚れるなよ〜」と言ってたのに、時代は「山ガール」だそうだ。山も海も、そして音楽も、合い言葉は「極める」から「楽しむ」へ。広告屋! グッジョブ!

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