フィーリーズの20年ぶりの新作を手に入れた。
フェス目当ての銭ゲバ再結成ではない。こうしてアルバムを作ったのだから真面目な再始動なのだ。ソニック・ユースや盟友R.E.M.(といってもピーター・バックだな)の熱心なサポートもあっての復活だそうだから、アメリカのポスト・パンク以降において、このバンドがいかに高く評価されていたかが伺い知れる。
しかしみんな老けたなあ。スリーヴに印刷されたメンバー写真が、過ぎた時間を残酷に説明するのは、80年の『クレイジー・リズムス』、そのジャケットにあったアイヴィー・リーグ風の学生風体があまりに鮮やかだったから。
内容は音も楽曲も昔のままで期待通りだし、レーベルもホーボーケンのBar Noneですっと胸に落ちる。勢いでフィーリーズの前作や、フロントマン、グレン・マーサーとデイヴ・ウェックマンが始めたWAKE OOLOO、ビル・ミリオンが一時参加したSPEED THE PLOUGH、ドラムのディーン・ウェアハムが参加したLUNA(マーサーとビルが組んだYOUNG WUはどこ探してもない)、それらを意地になって聴き直してみたが、懐かしさで胸がいっぱいになった。まったく古びてない。
フレッド・マー&ロバート・クイン、アート・リンゼイ&リディア・ランチ、ビル・ラズウェル&ジョン・ゾーン、ゴールデン・パロミノス&ピーター・シェラー。NYアンダーグラウンドが最も熱かった時代。そんなホコリっぽい時代に、フィーリーズは低体温でひとり醒めていた。かっこ良かった。
今晩はひっそりと、ひとり祝フィーリーズ再結成の宴かな。
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