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90年代のアメリカン・インディ・ミュージックを語る上で、ジェフ・ファリーナは重要なキーパーソンのひとりだろう。自身がリードしたカラテ、シークレット・スターはもちろん、イーダやシーム周辺とのコミュニケーション、盟友のクリス・ブロコウが率いたコデインのスローコア人脈との交流、さらにDCのハードコアとも太いコネクションを持つ特異なミュージシャンとして知られる。
そんな彼がカラテを解散した後、すぐにスタートさせたのがこのソロ・プロジェクト、グローリーテラーズだ。アルバムごとにジェフ以外のメンバーを変更し、フレキシブルに活動することを信条とするこのプロジェクト。これまでギャヴィン・マッカーシー(カラテ)やジョシュ・ラリュー(ソーツ、マイス・パレード)、さらにマイク・カステラーナ(サラ・ボーグス)なども参加している。
そして今回はシカゴ・ルーツ・ミュージックのベテラン、ケネス・P.W.ライニー(マンドリン)とライリー・ブローチ(ダブル・ベース)に加え、イーダやエリザベス・ミッチェルのソロ作、そしてヒズ・ネーム・イズ・アライヴなどの作品にもクレジットされるバイオリンのジーン・クックが参加。より繊細でアコースティックな上質なサウンドに仕上がっている。レコーディングはルーツ・ミュージックの偉人、ノーマン・ブレイクの名作『オリジナル・アンダーグラウンド・フロム・ザ・ミステリアス・サウス』が録音されたシカゴのスタジオ。いかにもジェフらしいチョイスだと言えるだろう。
シカゴの大学でアメリカン・ルーツ・ミュージックを教えながら、その研究に日夜勤しみ、埋もれた音源や楽器の発掘、さらにビンテージ・ギターの収集にも熱心なジェフ。彼のオリジナルであるインディ・ポップを下地に、愛するアメリカン・ルーツ・ミュージックの香りを加えた独特のサウンドスケープが印象的だが、同時に彼の饒舌なギター・テクニックにも注目したい。
カラテを2007年に正式に解散させたジェフ・ファリーナが、同年にフレキシブルなソロ・プロジェクトとして始動させたのがこのグローリーテラーズ。翌2008年には早くもデビュー・アルバム『グローリーテラーズ』をリリース。メンバーにはカラテ時代の盟友、ギャヴィン・マッカーシーとソーツやマイス・パレードでギターを担当したジョシュ・ラリューを招集。翌2009年には早くも2nd『アートン』を発表し、より複雑でより深遠なインディ・ポップ路線に磨きをかけた。その後に長年住み慣れたボストンからシカゴに転居して、本人の弾き語りのみで制作された個人名義のソロや、コデイン時代からの有人、クリス・ブロコウとの共作などを発表。現在はシカゴのデポール大学でルーツ・ミュージックの講座を持っている。
Geoff Farina &
Kenneth P.W. Rainey
Riley Broach
Jean Cook