\2530(with tax)
二つ折りインナースリーブ/歌詞付き
「もうずいぶん前だけど、テニスコーツがマヘル・シャラル・ハシュ・バスと一緒に演奏していた時に出会って、僕らは一瞬で友達になり一緒にレコードを作った。でも未だにふたりが見つけたものや届けてくれるものは、僕を驚かせ唖然とさせるんだ。彼らは本当に魅惑的なんだよ、きっと永遠にね」......スティーヴン・パステル(ザ・パステルズ)
植野隆司とさやのふたりでテニスコーツを始め、自身のレーベル、マジキックをスタートさせてもう20年強。それを契機にスタートさせたテニスコーツの集大成とも言える連作4枚組の大作がこの『Music Exists』シリーズだ。この連作でパッケージされる彼らの音楽は、日常を淡々と見つめた歌詞、大仰でない人肌のメロディ&アレンジに引き込まれながら、聴くたびに驚かされる繊細なマスタリングも魅力だが、大円団となるこのdisc4でもその奥深い味わいに一切の変化はない。
テニスコーツといえば、いつの時代もマイペースでブレない作品作りが印象的だが、この完結作も今までのテニスコーツとしての活動を凝縮したような佳作がぎっしり詰まっている。植野らしいメロディとさやの透明な声が独特の感傷感を呼ぶ「月の音」。大人の童話のような歌詞が印象的な「陸の果て、水の城」、映画にインスパイアされた「渡り鳥」、言葉遊びを歌にしたユーモア溢れる「サンマ」、レコーディング時に植野がのめり込んだ昭和歌謡(演歌)調の「似たものどうし」などさまざまなスタイルの楽曲が収録されているのも、これまでの彼の作品と共通する。
レコーディングはこの連作でマスタリング・エンジニアとして参加していた宇都宮氏のプライベート・スタジオで行われ、ミックスも同スタジオでさやが担当。演奏はテニスコーツの二人を中心に行われ、一部宇都宮奏氏もゲスト参加している。一連の連作を締めるにふさわしい堂々とした内容に仕上がっている。